商人達の共和国

 バザールの音、匂い、光、そこで蠢く人々の優しさ、穏やかさ、神聖さ、 自由でありながら、バザールという組織の中にいる安心感、心地良さ。
 イスラムの国で、バザールというのは、確かに小さな共和国のようなと ころだと思ったのは、シリアのバザールの商人に、“Republic of Merchants” と言う言葉を聞いてからだった。この“共和国”がなにを意味するのかと考えて みたのだが、それは、バザールの最大の特徴、イスラムによる精神的統一感ではないかと思う。
 イスラムを人間で表現するならば、宗教関係者よりむしろ、バザールの商人たちであると思う。 彼等を見ていると、愚かしさ、やさしさ、弱さ、強さ、相反するものが共存する人間らしさを認めてくれるイスラムという文化を自然と受け入れることができ、魅力的にすら思えてくる。バザールの商人達を見ていこうと思ったのは、イスラムという巨大な文化をどういう形でか表現したかったからだ。バザールの中に点在するモスクと商人達をパラレルに見ていく事によって、実際、中東の国を歩いているような状態を再生することを試みようと思う。


谷本美加


プロフィール











谷本美加 たにもと みか


         千葉県生まれ

平成 2年 4月 東京写真専門学校入学
平成 3年 4月 Beam Up 1 Studio 入社
平成 4年 3月 東京写真専門学校卒業
平成 6年12月 Beam Up 1 Studio 退社
以後 フリーランス
平成 8年 4月〜 デジタルカメラ・写真講座講師
          マチスアカデミー
平成 8年 9月 『新しい写真家登場』展出品
          新宿コニカプラザ
   同年10月〜 ペルシャ語新聞に写真連載
平成 9年 2月〜『ヤングポートフォリオ』展出品
          清里フォトアートミュージアム
平成 9年 7月〜『第2回東京国際写真ビエンナーレ』入賞
          東京都写真美術館

その他 パンフレット、ポートレート等の撮影  以上