商人達の共和国 バザールの音、匂い、光、そこで蠢く人々の優しさ、穏やかさ、神聖さ、 自由でありながら、バザールという組織の中にいる安心感、心地良さ。 イスラムの国で、バザールというのは、確かに小さな共和国のようなと ころだと思ったのは、シリアのバザールの商人に、“Republic of Merchants” と言う言葉を聞いてからだった。この“共和国”がなにを意味するのかと考えて みたのだが、それは、バザールの最大の特徴、イスラムによる精神的統一感ではないかと思う。 イスラムを人間で表現するならば、宗教関係者よりむしろ、バザールの商人たちであると思う。 彼等を見ていると、愚かしさ、やさしさ、弱さ、強さ、相反するものが共存する人間らしさを認めてくれるイスラムという文化を自然と受け入れることができ、魅力的にすら思えてくる。バザールの商人達を見ていこうと思ったのは、イスラムという巨大な文化をどういう形でか表現したかったからだ。バザールの中に点在するモスクと商人達をパラレルに見ていく事によって、実際、中東の国を歩いているような状態を再生することを試みようと思う。 |